PROJECT 特集

禎子の折り鶴を世界中の人に届けるプロジェクト

株式会社キャステムは精密鋳造技術と最新のデジタル技術を掛け合わせて金属で再現した、佐々木禎子さんの折り鶴「SADAKO」を製造販売しております。

この取り組みのきっかけは、禎子さんの折り鶴の保存と継承の課題でした。現在、佐々木家と広島平和記念資料館に残る折り鶴は約100羽のみ。国内外から寄贈の要望があるものの、数に限りがあるため、すべての要望に応えることができません。また、紙製のため劣化が進み、適切な保存には専門知識や高額な設備が必要でした。

こうした課題を解決するため、キャステムは3Dスキャンと精密鋳造技術を活用し、禎子さんの折り鶴を精密に再現。紙の質感や折り目まで忠実に再現されたステンレス製の「SADAKO」は、永続的に保存可能で、世界中に平和のメッセージを伝えられるようになりました。

金属化されたのは、禎子さんが亡くなる直前に枕元に置かれていた、最期に折られた折り鶴でした。わずか7mmほどの小さな折り鶴ですが、そこには丁寧に力を込めて折られた痕跡があり、私たちはその折り目から、禎子さんの強い願いや想いを感じ取りました。「禎子さんが自身の折り鶴に託した願いを形にする」ことが、このプロジェクトの使命であると強く認識した瞬間でした。

この「SADAKO」は、2023年のG7広島サミットで各国の首脳に贈呈されたほか、2024年にはローマ教皇、2025年にオバマ前大統領にも贈られ、禎子さんの平和への願いを世界に広める役割を果たしています。

1. G7各国首脳へSADAKOの贈呈

2023年5月のG7広島サミットにおいて、各国首脳は広島平和記念資料館を訪問し、芳名録に平和への決意を記しました。その際、首脳らが座った机上には、平和のシンボルである折り鶴が数羽配置されており、その中には特に小さな銀色の金属製折り鶴「SADAKO」がケースに収め置かれていました。
この「SADAKO」は各国首脳やサミット関係者に説明書きと共に贈られ、その羽の裏には「G7」「HIROSHIMA」と刻印が施されています。
これらの取り組みにより、「SADAKO」は世界のリーダーに平和のメッセージを伝える象徴として認識され、プロジェクトの意義がさらに広がりました。

2. ローマ教皇へSADAKOの贈呈

続いて、「SADAKO」の折り鶴を、ローマ教皇フランシスコに贈呈することで、平和のメッセージをさらに広める取り組みを行いました。
きっかけは、戦争で傷ついた市民の支援など、平和活動を続ける樽谷大助さんがバチカンに招待されたことです。樽谷さんと交流のあった佐々木禎子さんの遺族より手渡し頂く事を依頼する事で実現しました。
この贈呈は、2024年4月に実施され、樽谷さんは「禎子さんの思いが詰まっている鶴」と教皇と言葉を交わし、核廃絶への願いを込めて届けました。
教皇フランシスコはこの贈り物に深い感謝の意を表明されました。
この贈呈により、平和への願いが広がり、国際的な支持を得ることができました。教皇フランシスコは、常に世界の平和と和解を訴えておられ、「SADAKO」の折り鶴は、そのメッセージと深く共鳴しています。この取り組みは、平和の重要性を再認識させ、多くの人々に平和のメッセージを伝える一助となりました。

3. オバマ前大統領へSADAKOの贈呈

さらに、オバマ前大統領にも「SADAKO」の折り鶴を贈呈しました。この贈呈は、2025年に実現し、オバマ前大統領は禎子の折り鶴が持つ平和への祈りの力に深く共感しました。
オバマ前大統領は、2016年に現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問し、平和記念資料館で被爆の歴史に触れました。その際、彼は「核兵器のない世界を目指す」とのメッセージを発信し、広島で折り鶴を折る姿も見られました。贈呈された折り鶴には、戦争の記憶を風化させず、次世代へ平和の大切さを伝えるという願いが込められています。オバマ前大統領は、この取り組みに賛同し、「折り鶴を通じて平和のために広島で一緒にできることがあれば言ってください」などと述べられました。「SADAKO」の折り鶴が、アメリカ合衆国の元大統領にも届いたことで、平和への願いがさらに国際的な広がりを見せています。

SADAKOの折り鶴とキャステムの平和への想い

佐々木禎子さんの折り鶴は、第二次世界大戦の終結後、平和のシンボルとして広く認知されています。その背景にある禎子さんの物語は、戦争の悲惨さと平和の尊さを忘れないよう、世界に訴えかけています。キャステムは、この物語と折り鶴の象徴的な力を信じ、平和への貢献を目指して、今後もこのSADAKOを世界中の⼈に届けるプロジェクトを推進していきます。