メタルインジェクションとは、粉末状の金属粉とバインダーを混ぜ合わせ、金型に射出することによって目的の形状の金属部品を作成する加工方法です。
近年、情報機器、電子機器、医療機器をはじめとする製品の小型化・高性能化によって、部品の高精度化・複雑形状化の流れがますます急速になってきました。この時代の流れをいちはやく予見したキャステムではメタルインジェクション法(金属粉末射出成形法)/Metal Injection Molding(MIM)/「ミム」に着目し、アメリカからの技術輸入に頼ることなく独自に研究開発をすすめ、1991 年には米国で特許取得し、メタルインジェクションによる製法を完成させました。以来、メタルインジェクションの可能性を追求し続け、現在ではメタルインジェクションでしかできない機械部品の開発を担うようになりました。今後はさらにレベルアップを図り、高精度化・複雑形状化のニーズに応えていきたいと考えています。
納品までの流れ

メタルインジェクションの強さの秘訣
-
メタルインジェクション
密度95%以上で、空孔は丸い独立した形をとっているため、機械的強度が優れている。
-
通常焼結
密度が88%程度で、空孔が結晶粒界に沿って多く点在しているため、機械的強度が劣る。

メタルインジェクションはねじり、曲げ等、溶製材と同等の性質を示します。
(写真はSUS304 品)
加工・ロット数・材質
- ロット数 3000個以下の小ロット品は低コスト小ロット専用型にて対応。ロット10個から万単位の数まで幅広く対応。
- 金型 月量70型の自社金型工場を保有。低コストで短納期、設変修正等にも迅速に対応。
- 製品材質 SCM、SKD、ステライトと通常のメタルインジェクション材質(FeNi、ステンレス等)以外にも幅広く対応。
- 焼結プロセス バインダー脱脂工程で金属粉が変質・変形しにくい高スピードでの脱脂・焼結を行い、真空・還元雰囲気・不活性雰囲気・高圧雰囲気と多様な条件を自在に操り、それぞれの金属に最適のプロセスで焼結できる。
- 後加工 精密加工、熱処理、メッキ等、すべて一貫生産。
- その他 プロセスは自社で作り上げていく体制をとっているため、技術向上がめざましい。(1991年米国特許取得)
-
材質
ステンレス鋼 SUS304L / SUS316L / SUS630(17-4PH)/ SUS420J2 構造用鋼 SCM415 / SNCM439 工具類 SKD11 / SKH57 超硬 WC 10%Co 特殊材 コバール / パーマロイ(Fe-42Ni) チタン 純チタン / 6Al-4V チタン
その他
-
メタルインジェクションのデザイン性と限界
- 1. 軽量 ミム製法は10m/m 以上の肉厚は不得意ですが、適切な除肉を行えばコストダウンと品質向上を期待できます。
-
2.コーナー
下図A の様にコーナーや角部にまったくR のない製品化もできますが、より高強度を得るためにはB の方が望ましい。C にするとさらに強度を高めることができます。
- 3.抜き勾配 メタルインジェクション製法では型抜きのための勾配がなくても成形可能です。ただし形状によっては、勾配をつけた方が、コストダウンにつながる場合があります。
-
メタルインジェクションの可能性と実用性
-
1.可能穴寸法
穴径D
(m/m)可能長さL
(m/m)0.1~0.3 10×D 0.3~1 20×D 1~3 30×D 3~ 40×D - 2.インサート成形 メタルインジェクション製品は高精度なため、他材質、他製法の部品へのインサート成形が可能です。
-
3.注入口
射出成形のための注入口は製品の形状、型割りの位置によって選定します。
-
1.可能穴寸法